Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
左近吾しばらく待て
「断念せいとおっしゃれば、おっしゃるほど見とうございます」
「いかに見とうてもあれは成らぬ」
「何故、成らぬのでございます?」
「何故と申しても、その訳は……いやその訳も云うに及ばぬ。あれは断じて見せられぬぞよ」
鳰鳥はにわかに長い袖で顔の辺りを蔽うたが、
「もう見たいとは申しませぬ。見たいとは決して申しませぬが、これでお殿様のお心持ちもよく私に解りました。日頃申されたあのお言葉、そちより可愛しい者はないとか、そちのためなら国も棄てよう、木曽の館を出もしよう、日本の国は広くとも女の数は多くともそちより可愛い者はない、などと申されたお言葉も、もはや私は信じませぬ、嘘にも致せ私のために領地をも棄てようとおっしゃられたお殿様ではござりませぬか、いかに尊いかは知りませぬが、たかが一つの髑髏盃、それを見せぬと申されるからは、私はあってもないような者、生きている甲斐もござりませぬ。ご奉公ももうこれまで、私は自害なと致します」
帯に挟んだ守り刀を鳰鳥は手早く取り出した。
殿は懐剣を握りしめた鳰鳥の右手を抑えながら、ホッと吐息を吐いたのである。
左近吾しばらく待て
殿はしばらく考えたが、やがてカラカラと笑い出した。