Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
「それならよいが、どうも私は、あんまりあの女が美しいので、人間ではあるまいと思うがの」
「どうでも変化だと云うのだの」
「私には人間と思われぬ」
「私には人間と思われるよ」
「私にはどうも思われぬ」
「いいや確かに人間じゃ!」
「いいや確かに化物じゃ!」
「人間じゃ!」
「化物じゃ!」むきになって二人は争うのであった。
時代は足利の末葉で、日本歴史での暗黒時代、あっちでも戦い、こっちでも戦、武者押しの声や矢叫びの音で、今にも天地は崩れるかとばかり、尾張には信長、三河には家康、甲斐には武田、越後には上杉、群雄四方に割拠して覇を争う物凄さ。血生臭い事ばかりが行われたが、八方山に囲まれた木曽の谿谷三十里は、修羅の巷を懸け離れた自らなる別天地で、春が来れば花が咲き夏が来れば葉が茂り、きわめて長閑なものであった。
わけても藪原の駅は、姿を見ない人までも名にあこがれて通って来るほど美しい遊女が現われてからは、人の出入りも繁くなり、自然に商売も繁昌して、長閑さを一層長閑にした。
藪原長者の大館は木曽川に臨んだ巨巌の上に砦のように立っていた。裾は石垣で畳み上げ、窓は銅の網を張り、狼より猛々しい犬の群は門々の柱に纜いであった。