Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate

Aozora Bunko

猪はゆらゆらと揺らめいたが、クルリと頭を立て直し、低くその頭を雪に付け、爛々たる眼で武兵衛を睨み、蹴られないための用心に怒り毛の背を低く縮め、静かに機会を窺い出した。

それと見た武兵衛は驚いて、思わず五、六歩退いた。

「俺の睾丸を狙うとは、とんでもねえ物騒の獣だ!」

彼は一瞬間思案した。そのため体に隙が出来た。そこを悪獣は付け込んだ。投げられた大岩が飛ぶかのように、ブーンと唸り声を上げながら武兵衛の脚もとへ飛び込んで来た。

「しまった!」と武兵衛は叫びを上げた。手出しも出来ず見守っていた数馬も思わず絶叫した。

「南無三宝! やられたか」

しかし一発の銃声がその一刹那に鳴り渡り、それと同時に眼口の穴から滝のように鮮血を吹き出させて猪は雪に転がった。

向こうの灌木の根もとでは鹿がうめきながら倒れている。氷の上では無数の兎が四足をブルブル動かしていたが一つ一つやがて死んで行った。狐の群は顔を突き合わせ太い尾を脚の間へ垂れながら、死を覚悟しているかのように、眼を閉じてじっと佇んでいたが、空の上から雨のように征矢がひとしきり降って来ると、狐の体は見ている間にバタリバタリと地に斃れた。