Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate

Aozora Bunko

四辺は益※(二の字点、1-2-22)静かである。森閑闃然として音もない。

その時、山の一所から、一筋真っ直ぐに白い煙りが空に向かって立ち上った。煙りは忽ち火光を纏い、金竜雲に蜒るがように次第次第に弧形を画き、どこまでもどこまでも上って行く。そうして見る間に末広がりに煙りの先が広がって空一面に漲ったかと思うと、沛然と暴雨が降りかかった。暴雨は谷間に滝のように注ぎ、そこに籠った総ての物を押し流そうとするのでもあろう。しかし谷間は闃寂として立ち騒ぐような気勢もない。

雨は次第に勢いを弱め、やがて全く降り止んだ。谷間には何んの変化もない。やっぱり雪に埋もれている。

その時、谷の中央で轟然たる響きが轟いた。二道の火気が空に向かって矢のように速く飛んで行った。と、暗黒の空の二ヵ所に月と日輪とが現われて一瞬四辺が真昼のように紅色の光に輝いたが次の瞬間には消え失せた。

そうして後には異変もない。やっぱり空は曇っている。

いずれも幻影に過ぎないのであった。

五右衛門は苦々しく笑ったが、

「夜でも明けたら変化もあろう。今は戦いは居坐りじゃ」

ほんとに戦いは居坐りであった。