Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate

Aozora Bunko

少しも恥じることはない――どれ、打ちすてても置かれまい。その傷癒して進ぜよう」

童子は懐中へ手を入れたが、青い草の葉を取り出した。そうしてそれで傷の上を弛く二、三度撫で廻わすと、次第に痛みも消えて行き、神気もにわかに朗かになった。

「さあさあこれでもうよろしい。油断なく旅をお続けなされ」

童子はやおら立ち上がった。

数馬は恭しく地に手を突き、慇懃の言葉で云うのであった。

「思いもよらぬご介抱、お礼の言葉もござりませぬ。ついてはご身分とご姓名、どうぞお知らせくださいますよう。万事につけてのお振る舞い、尋常のお方ではよもあるまいと、先より存じてはおりましたが……さて、某は信州上田……」

「いやいや宣りはお控えられい……何んの拙者は名もないもの。もっとも拙者の主人事は、世に有名な隠士でござって、名前を明かさばお手前においても必ずご存じとは存じ申すが、拙者はほんのそのお方の走り使いのいわば使童。それとも是非に聞きたいとなら、いと易いこと宣り申そう。ただ才蔵とご記憶あれ」

こう云いすてると、その才蔵は、狼の背へゆらりと乗り、再び林へはいっていった。

数馬は後ろ影を伏し拝み、不思議に痛みの消えた足を、踏みしめ踏みしめ歩み出した。