Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate

Aozora Bunko

そうして妹のお前の身はこの部落から追い出され、息ある限りこの土地へ帰って来ることは出来ない筈じゃ」

「それでは二人はどっちみち昔通りにはなられませぬか……」

「潤んだような春の月も、泣いているような朧ろの空も、こうやって二人で見ることは未来永劫もうあるまい……」

二人はひしと抱き合った。この一刹那の哀楽をいつまでも逃がすまいと二人で取り縋っているかのように、砕けるばかりに抱き合った。厳として存する谿谷の掟。もしもそれさえなかったなら愛し合っているこの二人は、このまま部落を抜け出して他国へ走って行ったかもしれぬ。

とは云え一旦縁あってこの谿谷へ足を入れ弾正太夫に臣事したものは、義理の柵と慈悲の縄に体を十文字に縛られて身動きの出来ないその上に、厳かの掟に頭上を押され、許可なくては出るも入るも己が自由にならないのであった。

二人の悲しい宿命をさながら形に現わしたように、風なきに桜花が繽紛と散り、肩に懸かり裾に乱れ二人は落花に埋もれようとした。

無心に歌う夜鳥の声。コトコトコトコトと川瀬の囁き。やがて静かに糸を曳き歔欷する声の聞こえるのはお吉の洩らす泣き声であった。