Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate

Aozora Bunko

蒼白い燐火

異形の老人もいないけど、その代り逞しい武士が、冠っていた編笠を静かに脱ぎ、岩頭に厳かに立っている。……

「ここはいったい、どこだろう?」

鳰鳥はあまりの怪しさに、思わず呟いて四辺を見た。と、その時武士が云った。

「ここは木曽川の巴ヶ淵じゃ。お前はここで死なねばならぬ」

武士は柄頭に手を掛けた。忽ち刀身が閃めいて、抜身が武士の手に持たれた……。

蒼白い燐火

「恐ろしい事でございます。恐ろしい事でございます。恐ろしい事でございます」

腰元の一人はこう云って畳の上へ突っ伏した。

「ほんとに本当に恐ろしい事じゃ、まるでお館の昨今は化物屋敷そっくりじゃ……真夜中になるとどこからともなく人の泣き声が聞こえて来る、長い尾を曳いた人魂が裏庭の泉水から舞い上がり、御殿の屋根棟を一晩中、ぐるぐる廻わっている。そうかと思うと四斗樽ほどの、髪を乱した女の顔が、天井からダラリと垂れ下がる……ほんとに本当に恐ろしい事じゃ」

こう云ったのは老女である。

「それもこれもみんなお殿様の乱行のおかげでございます。毎日毎夜のご酒宴騒ぎ。のみならず時にはお太刀を抜かれ、諫言がましい事などを云うお気に入らぬご家来を片端から、お手討ちに遊ばす恐ろしさ。