Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
「これ我儘者の花桐さん。どうして座敷へは来なかった? 妾の座敷はお嫌いか? さてはこの妾が厭になったのか? おお、おお厭がるがよい嫌うがよい! 妾もお前を可愛がってはやらぬ……ああああ浮世はほんに憂き世、誰一人妾の本当の心を察してくれる者はない。日頃誠の姉妹よりも慣れ親しんだお前さえ、妾を嫌っているのじゃもの……」
「いいえ嫌いは致しませぬ」――花桐は島君の顔を見詰め、「決して嫌いは致しませぬが、合点の行かぬはお前の振る舞い、さあこの頃というものは、右衛門さんを振り捨てて、ろくでなしの紋十郎へ、心中だてをしなさるが、どういう下心があっての事かどうにも妾には解りませぬ」
「おおそれはごもっとも。なれどこれには訳がござんす」――「訳がなくてはならぬ筈。ええええ訳がございましょうとも……さあその訳をちゃっと妾に、どうぞ話してくださいまし」
しかし島君はこう訊かれても早速に答をしようともしない。ふと彼女は立ち上がった。フラフラと縁先へ歩いて行き、香しい初夏の前栽へつとその眼を走らせたが、
「訳と云うのは他でもない、ここに咲いているこの百合の花、いつも嫋々と首を垂れ、風吹けば揺れ、雨降れば傾ぐ、相手次第でどうともなる……これが妾の今の身の上……お前これでも解らぬかえ?」