Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
すなわち頭髪は肩まで生い身長の長きこと二丈余り、足は板敷を踏みながら首は天井の上まで懸かり、尚その低きを憤るが如く大眼活と見開いて下界を爛々と睨んでいる。身には獣の毛皮を纏い、露出した手足には毛生い繁り一々逆立ち針のようである。いかなる天魔悪鬼といえどもこれより凄じくは見えなかった。とたんに、老師の右手が上がり、何か口まで持って行ったが、これぞ西班牙の楽器の一つ、枝笛と名を呼ぶ小笛であって、忽ち泣くがよう怨むがような悲哀悽愴の鋭い音色が寥々として流れ出で、寂しい城砦の隅々まで糸のような尾を引いて響いて行った。
忽ち悲鳴が聞こえて来た。
「幽霊! 幽霊!」と叫ぶ声、走り廻わる足の音。……番兵達が逃げて行く様子が手に取るように聞こえて来たが、それさえやがて聞こえなくなった。
「それこの隙に!」
とオースチン老師は角を曲がって走り出した。数馬も後から走って行く。
老師は突然立ち止まった。
「さて、この辺が番兵どもがいつも立っている場所だがの、ここにカラクリがなければならない」
こう云いながら右手の壁をぐるぐる両手で探ったが、
「こいつだ」と鋭く呟いた。同時に軋り音がギーと響き、壁の面へポッカリと人の出入るだけの穴が開いた。