Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
「え」
と葉末はそれを聞くと怪しく声を筒抜かせたが、見れば顔色さえ変わっている。
「それはまた何故でございます?」
「つまり二人の恋仲を鬼王丸様が嫉妬なされて、是非とも市之丞を殺せという内命が我らに下ったからじゃよ」
「そうしてそれを芳江姫はご存じないのでございますか?」
「何んの姫が知るものか。姫は市之丞を助けようため身を犠牲にするのじゃもの」
こう云う声も睡そうに間もなく石右衛門は鼾を立て深い眠りにはいってしまった。
葉末はじっと考え込む。次第次第にその顔には悲しそうな表情さえ見えて来る。
次第に夜が更けて行った。葉末はいつまでもいつまでも考えに耽っているのであった。
「お父様……」
と葉末は頭を上げ、奥の方の部屋へ顔を向け小さい声で呼んでみた。父の石右衛門からは返辞がない。
返辞の代わりに大きな鼾が規則正しく聞こえて来る。
娘の葉末は返辞がないのでかえって安心したようにスルリと寝床から起き上がった。巌を刳り抜いて造った家の部屋と部屋との仕切りには莚が釣ってあるばかり有明の灯も消えたと見えて家の内は真っ暗だ。葉末は手さぐりで衣裳を着、忍び足をして土間へ下りたが静かに表戸を一方へ引くとポンと戸外へ飛び出した。