Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
諸国修行に越すものはない。常陸を出立たせるのはそのためじゃよ」
「それでも常陸殿がお出立ちになったら私は寂しくなりますなあ」
「寂しかったらその寂しさをじっと心に味わうがよい。その寂しさが極った時人の心は澄み返る。玲瓏と心が澄み返った時が術を行うによい時じゃ」
朝の光がキラキラと輝き秋草の乱れた庵室の庭を残る隈なくてらしていて四辺は森然と静かである。焔のように紅い櫨紅葉、珊瑚のような梅もどき、雁来る頃に燃えるという血よりも美しい鶏頭花、楚々たる菊や山茶花の花――庵室の庭は花咲き乱れ秋酣の眺めである。
耳を澄ませば林から林、山から山と渡って行く渡り鳥のつつましい囀声が丘からも林からも聞こえて来る。遥か向こうの水田の上へ颯と下ろして来た一群の鳥。それは初鴨の群でもあろう。栗の落ちる音さえ窃かである。
庵室の襖を向こうから開けて静かに姿を現わしたのは旅の装い凛々しくした木村常陸介その人であった。
常陸は縁へ手をついた。
「いよいよお別れでございます。一方ならぬご訓育、法術の秘奥悉く承わり、思い残すこともございません。永くお側にお仕え申して受けたご恩の万分の一なりとお返し致さねばならぬところ、今度かえってお師匠様より諸国を巡れとのお言葉に従い一旦お別れは致しますものの、やがて間もなく立ち帰えり、またご尊容を拝する考え