Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate

Aozora Bunko

まい」

「そうだ二度とは帰るまい」若殿が横から口を出した。

「鳥と云っても鷹だけはちょうど人間の武士のようなものだ。こうと目差した敵に向かい、一旦爪を掛けた以上は、敵を殺すか自分が死ぬか、二つに一つあるばかりだ。それを取り逃がした暁には、自分から恥じて二度と再び主人の挙へは帰らない。そこがあの鳥の価値なのだ。久しく飼い慣らしたあの秋篠も二度とは帰って参るまい。たった一つの俺の楽しみもこうして空へ飛び去って行った。俺には楽しみがなくなった。何一つ俺には楽しみがない」

若殿の声は潤っている。

二人の侍はそれを聞くと痛ましそうに眼をしばたたきしばらく無言で俯向いていたが、

「切ない若殿のお心の中、さぞかしと思いやられまして、申し上げる言葉もございません――何かにつけて闘争好きの大殿様とお比べ申せば、親睦平和を好ませられ、そのため木曽家との国争いをも苦々しきことに覚しめし、戦いの場にもお出張り遊ばさず、尚また関東の北条氏と、昔からお仲よろしからぬを嘆かれ、今回和平の証にと氏政殿の第三のお妹、吾妻姫を申し受けて若殿の奥方と定めましたところ、この頃に至ってその奥方様不思議の物の怪に襲われ給い、お寝間を一つにするや否や、奥方様の花のようなお顔が、醜い般若の形相となって物の云いよう立ち居振舞い羅刹のように荒々しくなりお側へ寄りつく