Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
「そう云えばそうじゃその通りじゃ! すべてお殿様のご乱行の、基はと云えば鳰鳥からじゃ、何んでも鳰鳥めがお側から、ああしろこうしろとお殿様を指図するとかいうことじゃ。その鳰鳥めの指図のままに、お殿様はお動きなさるそうじゃ! 憎いのは鳰鳥という女じゃ!」
「それに鳰鳥というあの女子は、魔法とやら妖術とやら怪しい術を時々使うということじゃ。恐ろしい女子はあの鳰鳥じゃ」
「恐ろしいと云おうか憎いと云おうか、ほんとにほんとに鳰鳥めに思い知らせてやりたいものじゃ!」
――女どもは口々に喚きながら、神に願いでも掛けるように額を畳へ押しあてた。
奥深い大奥の室々はやがてひとしきり静まった。
突然、その時裏庭に向いた、障子一杯に蒼白い、燐の火が燃え立つと思う間もなく、巨きな女の頭の影が、髪をおどろに振り乱し、最初に一つやがて二つ、それから三つ映って見えた。
女達は声さえ揚げ得なかった。一度に颯と飛びあがり、そのままあたかも木の葉のように、室から廊下へ走り出て、一散に奥の方へ逃げ込んだ。
と、すぐ燐の火が消えた。消えるや否やその障子が、一枚するすると開きかけた。一杯に開いた障子の蔭から音もなく現われた妖怪は、あたりを窃かに見廻わしてから座敷の中へはいって来た。