Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate

Aozora Bunko

「木曽の福島から参りました」

「木曽の福島?」と訝しそうに、二人の乙女は顔を見合わせたが、「どうしておいででございます?」

「ハイ、歩いて参りました」

すると二人の乙女達は、またも顔を見合わせたが、

「それは不思議でございますことね。ここは容易に普通のお方には、参られぬ所でございますのに」

つづいてもう一人がこう云った。「道に迷われたのでございますね」

それは確かにそうであった。ただし鳰鳥から云う時は、むしろ好んで迷ったのである。だが鳰鳥はそうは云わず、ただ黙って頷いて見せた。

「まあまあそれはお可哀そうに」

そこで二人の乙女達は何かヒソヒソ囁き合ったが、

「ここは深山でございます。容易に里へは出られません。『腐木の谷』でございます。でも妾達にお逢いなされたのは、まだしも幸せでございました。お命には別状ございますまい。さあおいでなさりませ。妾達の住居へ参りましょう」

で、二人は歩き出した。その後に従いて鳰鳥も滝の方へ歩いて行った。

滝の懸かっている絶壁を、三人は上へよじ登った。すると広茫たる平原へ出た。その平原の遥か向こうに、一帯の湖水が見えていた。大きな湖水とは云われなかったが、しかし周囲一里はあろうか、水清く波穏かに、岸には樹木が鬱蒼と茂り、諸所に奇岩奇石が岨立ち、また小さな入江さえあった。