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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

夜神楽、朝神楽

と、ここ大宝郷へ、蝟集して、肩摩轂撃の人波をその日には見せた。

大宝八幡の祭典は、三日にわたって執行された。第一日は、東八ヵ国掌管の戦捷を告げて、楽土安民を祈願し、第二日目には、新たに、各州の庁に任用された百官の礼拝と、神前の宣誓式があり、さて、三日目には、

「軍功を賞し、祝酒を給わるであろう。全軍の将兵も、弓を袋に収め、このよき新春を、寿ぎ合うがよい」

と、あって、早朝に、恩賞の沙汰が発表され、社前の満庭を、大宴会場として、神楽殿における奏楽と巫女たちの舞楽のうちに、万歳、万々歳を三唱して、いよいよ大饗の酒もりになったのであった。

神楽は、夜神楽、朝神楽と、三日間というもの、たえまなく奏されていたが、特に、大饗楽となると、土俗的な俚謡や、土地の土民舞なども、演じられて、早くも、酔狂な将兵たちが、各※(二の字点、1-2-22)扮装をこらして舞殿にあがり、将門を始め、帷幕の諸将の喝采をあびていた。

その将門は、というと。

拝殿前の広庭に、臨時に出来た大桟敷が見える。そこには、彼の一族や諸将の顔ぶれはもちろん、新任の府官や吏生など、数百名が、群臣の礼をとって、陪席していた。