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こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

オシラサマ

京都大学の図書館長は泉井久之助君で、言語学専攻だったから、たいへん興味をもってそれをほしがった。また大阪外語の方は、石浜純太郎教授と懇意な間柄だったし、とにかく自分の方にいた教師の遺品だからと、母校の立場からいろいろ考えたらしい。ところが、こうして四方八方からやいやいとつついたのがかえっていけなかったらしい、両方とも成功しなかった。北海道関係のものは、その長谷川という人に興味があるにしても、われわれの方では必要としない、われわれはただ沖縄のノートだけを参考にしたいのである。

ネフスキーが友達のコンラッドという同国人といっしょによく来たころ、「私どもは二人とも二十五歳になりました」などと話したことがあったが、今生きていれば六十七歳くらいになっているであろう。何とかして終りを全うさせてやりたい篤実な学者であった。

オシラサマ

ネフスキーは北海道からの往復、よく相馬の高木誠一君のところに寄って、オシラサマの研究をしていた。二、三年前、高木君の手によって、ネフスキーとの往復書信が印刷されている。

ネフスキーは一方で、沖縄の言語は内地と同じ言葉の変化だという問題を明らかにし、もう一方で東北の小さい地域の非常に奇異な文化現象であるオシラサマの研究をしていた。