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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

「見えすいたことですよ」と陳宮は笑った。

「あなたを牽制しておいて、一方の劉備を討とうという袁術の考えでしょう」

「そうだろうな。おれもなんだかそんな気がした」

「劉備が小沛にいることは、あなたにとっては前衛にはなるがなんの害にもなりません。それに反して、もし袁術の手が伸びて、小沛が彼の勢力範囲になったら、北方の泰山諸豪とむすんでくるおそれもあるし、徐州は枕を高くしていることはできなくなる」

「その手には乗らんよ」

「そうです。乗ってはなりません。受ける物は遠慮なく受けて、冷観しておればよろしいのです」

数日の後。

果たせるかな情報が入った。

淮南兵の怒濤が、小沛へ向って活動しだしたというのである。

袁術の幕将の一人たる紀霊がその指揮にあたり、兵員十万、長駆して小沛の県城へ進軍中と聞えた。

もちろん、袁術から、先に代償を払っているので、徐州の呂布には懸念なく、軍を進めているらしい。

一方、小沛にある劉玄徳は、到底、その大軍を受けては、勝ち目のないことも分っているし、第一兵器や糧秣さえ不足なので、

「不測の大難が湧きました。至急、ご救援をねがいたい」

と、呂布へ向って早馬を立てた。