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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

二

……こんどの戦こそ、日頃の恋をとげるにはまたとない好機。なんとかして彼を麾下に加えたいものである。怪我なく生け捕って、許都のみやげに連れもどりたい。――各※(二の字点、1-2-22)、予が意を酌んで、充分に策をねってくれよ」

二

むずかしい注文である。諸将は顔を見あわせていた。

郭嘉は、曹操の前へすすんで、そのむずかしさを正直にいった。

「関羽の勇は、万夫不当と、天下にかくれもないものです。討ち殺すさえ、容易ではありません。しかるにそれを手捕りにせよとのご命令では、どれほどの兵を犠牲にするやも計られず、また下手をすれば、却って彼に乗じられるおそれがないとも限りませんが」

すると、張遼が、右列を出て、

「お案じあるな。拙者が関羽を説いてお味方へ降らせましょう」と、いった。

程、郭嘉、荀などの諸将はみな、なかば疑って、

「君はその自信があるのか」と、口をそろえて反問した。

「ある!」

張遼は、ひるみなく答えた。

「諸氏は関羽の勇だけをおもんぱかっておられるようだが、拙者のもっとも至難と考えるところは、彼が人いちばい、忠節と信義にあつい点である。しかし幸いにも、拙者と彼とは、――形の交わりはないが、つねに戦場の好敵手として、相見るたび、心契の誼みに似たものを感じ合っている。