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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

四

この呂布が仲裁では、君は役不足というのか」

四

平和主義も顔負けしたろう。

それも、余人がいうならともかく、呂布が自分の口で、(おれは平和主義だ)と、見得を切ったなどは、近ごろの珍事である。

もとより紀霊も、こんな平和主義者を、信用するはずはない。おかしいよりも、彼は、なおさら疑惑に脅かされた。

「和睦といわれるが、いったい和睦とは、どういうわけで?」

「和睦とは、合戦をやめて、親睦をむすぶことさ。知らんのか君は」

紀霊は、呆っ気にとられた。

その顔つきを煙にまいて、呂布は、彼の臂を引っ張ッたまま席へつれてきた。

変なものができあがった。

座中の空気は白けてしまう。紀霊と玄徳とは、ここで、客同士だが、戦場では当面の敵と敵である。

「…………」

「…………」

お互いにしり眼に見合って、毅然と構えながらももじもじしていた。

「こう並ぼう」

呂布は、自分の右へ、玄徳を招じ、左のほうへ、紀霊の座をすすめた。

酒宴になった。

だが、酒のうまかろうはずがない。どっちも、黙々と、杯の端を舐めるようなことをしている。

そのうちに呂布が、

「さあ、これでいい。――これで双方の親交も成立した。