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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

二

この際、劉玄徳を得るは、いよいよ袁家の大慶でもあることと信じ、自分も欣然この労をとった。

「これでよいかの」

鄭玄は自分の文を詩のように吟誦してから封をした。玄徳は押しいただいて門を辞した。驢をめぐらして城に帰ると、すぐ部下の孫乾を河北へ使いに立てた。

二

はるばる徐州の使い孫乾が、書簡をたずさえて、河北の府に来れりというので、袁紹は、日を期して謁見を与えた。

孫乾は、まず玄徳の親書を捧呈してから、

「願わくは、閣下の精練の兵武をもって、許都の曹賊を討平し、大きくは漢朝のため、小にはわが主玄徳のため、この際、平常のご抱負をのべ、奮勇一番、ご蹶起あらんことを」

と、再拝低頭、畏れ慎んで云いながらも、相手の腹中にはいって懇願した。

袁紹は一笑した。

「何かと思えば、虫のよい玄徳の頼み。彼は先頃、わが弟の袁術を殺したではないか。いずれ弟の仇を思い知らしてやろうとは考えていたが、彼に助力を与えんなどとは、思ってみたこともない。何を戸惑うてこの袁紹に……。あははは、使者にくる者もくる者。仮面でもつけて参ったか」

「閣下。そのお恨みは、曹操にこそ向けられるべきです。何事につけ廟堂の奸賊は、朝命をもって、みだりに命じ、そむけば違勅の罪を鳴らそうというのであります。