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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

一たん兵を退いて都の許昌に帰ってくると、曹操のところへ、徐州の呂布から使者が来て、一名の捕虜を護送してよこした。

使者は、陳珪老人の子息陳登であり、囚人は、袁術の家臣、韓胤であった。

「すでにご存じでしょうが、この韓胤なる者は、袁術の旨をうけて、徐州へ来ていた婚姻の使者でありました。――呂布は、先頃、あなたからの恩命に接し、朝廷からは、平東将軍の綬を賜わったので、いたく感激され、その結果、袁術と婚をなす前約を破棄して、爾後、あなたと親善をかためてゆきたいという方針で――その証として、韓胤を縛りあげ、かくの如く、都へ差立てて来た次第でありまする」

陳登は、使いの口上をのべた。

曹操はよろこんで、

「双方の親善が結ばれれば、呂布にとっても幸福、予にとっても幸福である」

と、すぐ刑吏に命じて、韓胤の首を斬れといった。

刑吏は、市にひき出して、特に往来の多い許都の辻で、韓胤を死刑に処した。

その晩、曹操は、

「遠路、ご苦労であった」

と、使いの陳登を私邸に招待して、宴をひらいた。

陳大夫

一

酒宴のうちに、曹操は、陳登の人間を量り、陳登は、曹操の心をさぐっていた。