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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

陳宮も辞を低うして答えた。

「ただお用いあるか否かが問題です。ここに取るべき一策としては『掎角の計』しかありません。将軍は精兵を率いて、城外へ出られ、それがしは城に在って、相互に呼吸をあわせ、曹操をして、首端の防ぎに苦しませるものであります」

「それを掎角の計というか」

「そうです。将軍が城外へ出られれば、必ず曹操はその首勢を、将軍へ向けましょう。すると、それがしは直ぐ城内からその尾端を叩きます。また、曹操がお城のほうへ向かえば、将軍も転じて、彼の後方を脅かし、かくして、掎角の陣形に敵を挟み、彼を屠るの計であります」

「ムム、なるほど、良計良計。孫子も裸足だろう」

呂布は、たちまち、戦意を昂めて、立ちどころに出城の用意と云いだした。

山野に出れば、寒気はことに烈しかろうと想像されるので、将士はみな戦袍の下に綿衣を厚く着こんだ。

呂布も奥へはいって、妻の厳氏に、肌着や毛皮の胴服など、氷雪をしのぐに足る身支度をととのえよといいつけた。

厳氏は、良人の容子を怪しみながら、

「いったい、何処へお出ましですか」と、たずねた。

呂布は、城を出て戦う決意を語って、

「陳宮という男は、実に智謀の嚢のような人間だ。