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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

「朱霊、露昭の両人である」

話しているところへ、

「ご健勝のていを拝し、こんな歓びはございません」

と、旧臣の糜竺や孫乾たちも会いにきたので、打揃って、当夜の宴に臨んだ。

宴の終るのを待ちかねて、玄徳は、糜竺や孫乾などと共に、城を出た。そして妻子のいる旧宅へ久しぶりに帰った。

玄徳はまず、老母の室へ行って、老母の膝下にひざまずき、

「母上、あなたの息子は、今帰って来ました。阿備とお呼び下さい。阿備ですよ」

と、手をさしのべた。

「おお、……阿備か」

老母は、玄徳の手を撫で、肩を撫でまわし、やがてその顔を抱えこんだ。

「ようご無事で……」

老母はすぐ涙ぐむ。近頃は眼もかすみ、耳も遠く、歩行も独りではできなくなっていた。しかし何不自由なく、いつも柔かい絹や獣皮や羽毛に埋もって、ひたすら息子の無事ばかり祈っていた。

「よろこんで下さい母上。こんど都に上って、天子に謁し、その折、ご下問によって、初めて、わが家の家系をお耳に達しましたところ、天子には直ちに、朝廷の系譜をお調べになり、まぎれもなく、劉玄徳が祖先は、わが漢室の支れた者の裔である――玄徳は朕が外叔にあたるものぞと、勿体ない仰せをこうむりました。