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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页
おれたちの前へほうってくれ。膾斬りに叩ッ斬ってくれるから」と戟や剣をひしめかした。
荀※(「或」の「丿」に代えて「彡」、第3水準1-84-30)も、殺意と癇癪が、一緒にこみあげて、ひとの手を待つまでもなく、ただ一太刀にと思ったが、曹操でさえ、堪忍して使者に用いたものを、みだりにここで殺しては――と、じっとこらえて、
「いや待て待て。丞相もさきほど仰せられた。こいつは鼠のごときものだと。鼠を斬ったら、おれたちの刀のけがれだ。まあ、鎮まれ鎮まれ」
禰衡は聞くと、馬の上から左右の大将たちを、キラキラ眺めまわして、
「とうとうわしを鼠にしおったな。だが、鼠にはなお人に近い性がある。気の毒だが、おまえ方はまず糞虫だ。糞壺にうごめく蛆虫としかいえんな」
「なにをッ」
戟戛して、つめよる諸将を、荀※(「或」の「丿」に代えて「彡」、第3水準1-84-30)はやっと押しへだてて、
「まあ、いわしておけ、正気じゃない。いずれ荊州に行ってしくじるか、能もなく立ち帰って、大恥をさらすか、どっちにしろそれまで胴の上に乗ッかっている彼奴の首にすぎん。あははは、むしろ嗤え嗤え」
諸将から兵隊まで、こぞって嘲り嗤うなかを、禰衡は通って、禁門の外へのがれた。