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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

そんな所へすえられて、わしを肴に飲まれてたまるものか」

「否、否。……きょうはそんな儀式張らないで二人きりで飲りましょう。あとでお越し下さい」

黄祖は去ったが、しばらくすると、小姓の一童子をよこして、禰衡を誘った。

行ってみると、城の南苑に、一枚の莚と一壺の酒をおいたきりで、黄祖は待っていた。

「これはいい」

口の悪い禰衡も初めて気に入ったらしく、莚の上に坐った。

側には、一幹の巨松が、大江の風をうけて、颯々と天声の詩を奏でていた。壺酒はたちまち空になって、また一壺、また一壺と童子に運ばせた。

「学人に問うが……」と、黄祖もだいぶ酩酊して、唇をなめあげながら云いだした。

「学人には……だいぶ長いこと、都に居ったそうだが、都では今、誰と誰とを、真の英雄と思われるな?」

禰衡は、言下に、

「大人では孔文挙、小児なら楊徳祖」と、答えた。

黄祖は、すこし巻舌で、

「じゃあ、吾輩はどうだ。この黄祖は」と、片肱を張って、自分を前へ押しだした。

禰衡はからからと笑って、

「君か。君はまあ、辻堂の中の神様だろう」

「辻堂の神様? それは一体どういうわけだ」

「土民の祭をうけても、なんの霊験もないということさ」