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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

「豎子曹操。なにほどのことやあらんです。拙者におまかせなさい。いまの妙策はいけませんか」

「いや、感心した。そちという者は、武勇一点ばりで変哲もない男かと多年思っていたが、先ごろは、良計を用いて、劉岱を生捕ったし、いままた、兵法にかなった妙計をわしへ告げおる。――よかろう、汝の存分に、曹操の先鋒を討ち砕け」

肚をきめれば、大腹な玄徳である。それに近ごろ張飛をすこし見直していたところなので、直ちに彼の策をゆるした。

張飛は、手具脛ひいて、

「いざ来い。眼にもの見せてくれん」と、用意おさおさ怠りなく、奇襲の機をうかがっていた。

敵二十万の大軍は、まもなく近々と小沛の県界まで押してきた。

ところがその日、一陣の狂風が吹いて、中軍の牙旗がポキッと折れた。

あまり御幣はかつがない曹操だが、着陣したその日なので、「はてな?」と、しばし馬上に瞑目し、独り吉凶を占うていたが、なお試みに、

「これは吉兆か凶兆か」と、諸将をかえりみて訊ねた。

荀※(「或」の「丿」に代えて「彡」、第3水準1-84-30)がすすみ出て、

「風はどう向いて吹きましたか」

「東南からであった」

「折れた旗の色は」