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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

漢家のご運もはや西に入る陽か」

嘆く者も、それを声には出さないのである。――ただ無力なにぶい瞳のうちに哭いて、木像のごとく帝の側に佇立しているだけだった。

×     ×     ×

軍師、謀士。

そのほか、錚々たる幕僚の将たちが、痛烈に会飲していた。

真ン中に、曹操がいた。面上、虹のごとき気宇を立って、大いに天下を談じていたが、たまたま劉備玄徳のうわさが出た。

「あれも、いつのまにか、徐州の太守となりすましているが、聞くところによると、呂布を小沛に置いて扶持しているそうだ。――呂布の勇と、玄徳の器量が、結びついているのは、ちと将来の憂いかと思う。もし両人が一致して、力を此方へ集中して来ると、今でもちとうるさいことになる。――なにか、未然にそれを防止する策はないか」

曹操がいうと、

「いと易いこと。それがしに精兵五万をおさずけ下さい。呂布の首と、玄徳の首を、鞍の両側に吊るし帰って来ます」と、許がいった。

すると、誰か笑った。

「ははははは。酒瓶ではあるまいし……」

荀※(「或」の「丿」に代えて「彡」、第3水準1-84-30)である。

笑った唇へ、酒を運びながら、謀士らしい細い眼の隅から、許※(「ころもへん+睹のつくり」