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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

吉川英治『三国志(三)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 312,452 字 · 628 页

青空文庫

早速、密書をしたためて、それを自分の小臣に持たせて、ひそかに、小沛の県城へ走らせた。

小沛までは、幾らの道のりもない。徒歩で走れば二刻、馬で飛ばせば一刻ともかからない。およそ四十五里(支那里)の距離であった。

ちょうど、呂布は眠りについたばかりのところだった。

そこへ腹心の陳宮が曹豹の小臣から事情を聞きとって、密書を手に、入って来た。

「将軍、お起きなさい。――将軍将軍、天来の吉報ですぞ」

「誰だ。……眠い。そうゆり起すな」

「寝ている場合ではありません。蹶起すべき時です」

「なんだ……陳宮か」

「まあ、この書面をご一読なさい」

「どれ……」と、ようやく身を起して、曹豹の密書を見ると、いま徐州の城は張飛一人が守っているが、その張飛も今日はしたたかに酒に酔い、城兵もことごとく酔い乱れている。明日を待たず兵を催して、この授け物を受けに参られよ。曹豹、城内より門を開いて呼応仕らん――とある。

「天の与えとはこのことです。将軍、すぐお支度なさい」

陳宮がせきたてると、

「待て待て。いぶかしいな。張飛はこの呂布を目の敵にしている漢だ。俺に対して油断するわけはないが」

「何を迷うておられるのです。