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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
これは現在の科学の方法論の根柢に触れる考えである。
これらの種々相から勝手な推論が許されるならば、これこそ本当の意味での「新物理学」の創設である。先生のルクレチウスの科学の評論には次のような意味のことが附加されている。現代の物理学の形式は全くギリシア時代の人間の考え方とほとんど差がない。これは西洋的の物の考え方の基礎をなしている思考形式であって、人間の頭脳の力が文化によっていかに強く支配されているかをよく物語っているものであるという説である。東洋の全く異った文化に育成されてきた者のもつ意識は、全く新しい形式の科学の創設に重要な役割をしないとは断言出来ない。問題を物理学に限定すれば、現代の物理学は、量的に計測し得るもの、あるいは数学の式で取扱い得る現象の物理学である。自然にはそれ以外の物理現象がいくらもあって、それらの問題を取扱う別の物理学もあってもよいはずであるというのが先生の持論であった。このように見ると、人類の文化にかなり本質的な貢献をなすべき考え、少くともその萌芽が、一九三五年の十二月三十一日、先生の肉体とともに永久に消え去って、再び花を開く日がこないのではなかろうかと悼まれるのである。