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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页

青空文庫

結晶の枝の先々までが、丁度開きかけた薔薇の花弁の縁のような鮮明な輪廓を持っていた。これはこの小屋のある場所の周囲が、相当広い範囲にわたって、巧く風当りが強くないような地形になっているためらしい。

気温は案外高く、冬の真中でも普通最高零下十度最低二十度附近を往来している程度である、東京と比較してみても平均二十度以内の差であるが、それでも随分変ったことが多い。一番直接な例は、ここでは水はもはや液体ではなく、普通の条件では固体であると考えて生活しなければならぬことである。幸い小屋近くに良い湧水があって、それが例外として液体の水を供給してくれるのである。雪の中でどのように転んでも土は常に六尺以上の地下にあって、衣服は汚れることもなければまた濡れるという心配もない。これは丁度普通の場所で土の上に転んでも地下の岩で傷つかぬと同じことである。

顕微鏡写真を撮るための固定した実験台を作るにも極めて簡単で、有り合せの木箱を適当な所に据えて、周囲に雪を積んで水を一杯掛けて置くと、十分も待てばコンクリートの台位の固定した台が出来る。その上に顕微鏡写真装置の台を載せて、また少量の雪と水とでこれに固着させる。