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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页

青空文庫

夫人というのは、私は非常に運が良く倫敦でも中流以上の家に置いて貰ったのであった。その日私は丁度実験が途中切れなかったもので、御茶どころの騒ぎでなかったので、その由を答えた。ところが夫人は世にも驚いた表情をして、「まあ、御茶も呑まずに研究をしていたって、日本が getting up するのも無理はない」という始末なのであった。日本だったら一週間位徹夜して実験をした位に思ったようであった。

天気の良い日など散歩がてらに少し早めにぶらぶら出かけて行くと、よく裏庭の芝生へ通されたものであった。プロフェッサーは芝刈のモーアを横に転がしておいて、甲板椅子によりながらパイプをくわえて陽に当っているようなことが多かった。仕事のことを離れた静かな話をしばらくしている中に、御茶の用意が出来たといって夫人が迎えにこられる。この夫人は恐ろしく肥った大きい人で、大変愛嬌がよく話好きであった。何でもプロフェッサーも夫人の前では頭が上らぬらしいと教室の古参連中の噂であった。もっとも英国ではどの家庭でも多少はその傾向があるので、特に述べ立てるほどのことはないのかも知れない。御茶の席には子供さん達も集りなかなか御馳走があった。