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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
そして話は例によって日本には何々があるかという風なことに落付くのであった。「日本では一夫多妻が許されているか」という夫人の問いに、「いいえ許されていません。しかし悪い金持なんかどうか知りません」というと、プロフェッサーがそれを引きとって「金持はどこだってそうだよ」、という調子であった。
随分ゆっくりしたこの御茶がすむと初めて書斎に通される。プロフェッサーの家には土蔵のような感じの大きい離れがあって、慥か二階廊下かでつながっていたように覚えている。その離れの二階が書斎というよりむしろ仕事場になっていて、がらんとした広い部屋の真中にいくつも卓が寄せ集めてあって、その上にはまた雑誌だの書きかけのフルスカップなどが思い切って乱雑に山のように積み重なっていた。その間で粗末な椅子に向き合って坐りながら色々次の実験の指図を聞くのであった。室全体が薄暗く屋根裏のように何となく埃っぽい感じであった。その頃のリチャードソンは実験の方よりもむしろ理論の方に力を注いでいたようで、その頃新しく勃興してきた量子力学の計算などにも力を入れていたようであった。こういう部屋に閉じ籠って熱電子の理論に耽るような生活も随分静かなものであろうと思われた。