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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

荘園では、いやでも、課税の対象にされるが、朝廷の墾田帳にも、大張使の税簿にもない未開田は、督税使がやかましくいっても、なんとでも、ごまかせた。

こうして、彼が一代に作った田産と、豊田郡の一丘を卜して建てた柵、本屋しき、物倉、外曲輪などの宏大な住居は、親類中の羨望の的であった。

「常陸の兄も、上総の弟共も、おれを羨むというが、どうだおれの一生仕事は。――百姓でも、大百姓なら、これで結構。国司でも、郡司でも、おれのまねは、よも出来まい。――その下の、守でも、介でも、掾でも、目でも、みんなおれにお世辞をいってくるではないか」

いま、中央では、藤原氏か、藤原姓の端ッくれにでも、縁のつながる者でなければ、人間仲間ではないようにいわれている時の下に――地上の一方に、良持は、そんな豪語を含んで生き、そして間もなく、死んで行ったのであった。

だが、ことし十四の小次郎には、亡父が遺した何一つとて、さほどの物には、見えなかった。

強いて、その中で、彼に役立ったものといえば、アイヌ娘の蝦夷萩が、叔父たちの眼をしのんでは、着る物、喰う物などに、あたたかな愛情を寄せ、

「可哀そうな御子。