轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こきょうしちじゅうねん

故郷七十年

柳田 国男

「神戸新聞」神戸新聞社、1958(昭和33)年1月9日~9月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 257,350 字 · 507 页

青空文庫

北条を発ったのは明治二十年八月であった。明石を通りすぎる時、幼いころからこの地名はよく聞いていたから非常に興味をもって四囲の風物をながめていたのだが、そこで西洋人が海水浴というものをやっていた。女が裸になってサルマタのようなものをつけて海に入ってゆく。「これが海水浴というものか」と、私ははじめて強い印象を与えられた。その時は、淡路を眺めるのがおろそかになったほどの強い印象であった。

それから後も、たびたびそこへは降り立ったり、汽車の窓から見て過ぎたのだが、その時にくらべると、もっと昔風に思えたものである。つまり、最も新しい明石を、その時に見たわけで、明石といえば、いつまでも海水浴と結びついて思い出される。

車はやがて兵庫の町に入り、さびれてゆく町並を過ぎ、神戸の港に面した、当時最高級といわれた――西村屋だったろうか――宿屋に泊った。いまもそのたたずまいがくっきりと目に浮ぶようだが、よくどこの港町にもあるような普通の手摺つきの表二階の家で、縁側も雨戸もかっこうの宿屋だった。海岸は草土堤になっており、石垣は築いてあったが、上の方は芝生で、草も生えていたように記憶する。