Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
「下痢腹ぐらいで、なんで人間が死ぬものか。しっかりしろ」
はげまして――
「もう少しの辛抱だぞ、こらえておれ、農家が見つかったら、薬ももらってやろうし、楽々と寝かせてもやれようから」
関ヶ原から不破への街道には、宿場もあり部落もある。武蔵は、要心ぶかく歩きつづけた。
しばらく行くとまた、一部隊がここで全滅したかと思われる程な死骸のむれに出会った。だがもう、どんな屍を見ても、残虐いとも、哀れとも二人は感じなくなっていた。そうした神経だったのに、武蔵は何に驚いたのか、又八もぎょっとして足をすくめ、
「あっ? ……」
と軽くさけんだ。
累々とある屍と屍の間に、誰か、兎のように迅い動作で、身をかくした者があった。昼間のような月明りである。じっと、そこを見つめると、屈んでいる者の背がよくわかる。
――野武士か?
とは、すぐ思ったことだったが、意外にもそれはまだやっと十三、四歳にしかなるまいと思われる小娘であって襤褸てはいるが金襴らしい幅のせまい鉢の木帯をしめ、袂のまるい着物を着ているのである。――そしてその小娘もまた此方の人影をいぶかるものの如く、死骸と死骸との間から、迅こい猫のような眸を、じっと、射向けているのであった。