Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
二
今朝、鬼女の笑い仮面を両手にあげて、嬉々と逃げまわっていた子供の眼と一つものとは思えないほど静かな瞼である。
「もうそろそろだ、わしとここでわかれるのだぞ」
「…………」
「わしから離れろ。――でないと側杖を食う、お前が怪我をする理由はちっともない」
ポロポロと眼が溶けて頬に白いすじを描いてながれる。ふたつの手の甲が、そうっと睫毛へ行ったと思うと、肩がしゅくっと泣いて、それからしゃっくりのように、体じゅうですすり上げた。
「何を泣く、兵法者の弟子じゃないか。わしが万一、血路をひらいて走ったら走ったほうへおまえも逃げろ。また、わしが突き殺されたら、元の京都の居酒屋へ帰って奉公せい。――それを、ずっと離れた小高い所でおまえは見ているのだ。いいか、これ……」
二
「なぜ泣く」
武蔵がいうと、城太郎は濡れた顔を振り上げて、武蔵の袂を引っぱった。
「おじさん、逃げよう」
「逃げられないのが侍というものだ。おまえは、その侍になるのじゃないか」
「恐い。死ぬのが恐い」
城太郎は戦慄しながら、武蔵の袂を、懸命にうしろへ引いて、
「おらが可哀そうだと思って、逃げてよう、逃げてよう」
「ああ、それをいわれるとおれも逃げたい。