Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
七
「え。御用がすみましたから」
「早いんですね」
世辞をいって――彼女の手をのぞいて、
「この芍薬、白い花が咲くんですか」
「そうです、お城の白芍薬ですの、ほしいならば上げましょうか」
「下さい」
と手を出す。
その手へ、芍薬をのせて、
「左様なら」
彼女は、軒先から駒の背に乗って、ひらりと、被衣にすがたを包んだ。
「またいらっしゃいませ」
小茶ちゃんは見送ってから、旅籠の雇人たちに、白芍薬を見せびらかしたが、誰も、よい花だとも美しいともいってくれないので、やや失望しながら、武蔵の部屋へ持って来て、
「旦那はん、花お好き」
「花」
窓に頬づえをついて、彼は、小柳生城のほうを今も見つめていたのである。
(――どうしたらあの大身に接近できるか。どうしたら石舟斎に会えるか。また、どうしたら剣聖といわれるあの老龍に一撃与えることができるか)
を、遠心的な眼が、じっと考えつめていた。
「……ほ、よい花だな」
「好き」
「好きだ」
「芍薬ですって。――白い芍薬」
「ちょうどよい。そこの壺に挿しておくれ」
「あたいには挿せない。旦那はん挿して」
「いや、おまえがいいのだ。無心が却っていい」
「じゃあ、水を入れてくる」