Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
五
――今考えると、その単純さが、武蔵はおかしくなるのである。
「――醍醐だな」
肌に汗をおぼえたので、武蔵は足をとめた。いつのまにか、かなり高い山道を踏んでいる。すると遠くで、
――おじさアん……
しばらく間を措いて、
――おじさアアん
とまた聞える。
「あっ?」
武蔵は、河っ童に似た少年の顔が風を衝いて走ッてくる態を、すぐ眼にうかべた。
案のじょう、やがてその城太郎の姿が、道の彼方にあらわれて、
「嘘つきッ。おじさんの嘘つき!」
口では罵り、顔には、今にも泣きだしそうな血相をもって、息も喘ぎ喘ぎ追いついて来るのであった。
五
――来たな、とうとう。
武蔵は、当惑そうな裡に、明るい笑くぼを顔にのぼせ、振向いて待っている。
迅い。とても迅い。
こっちの姿を目がけて、むこうから素ッ飛んで来る城太郎の影は、ちょうど烏天狗の雛子というところだ。
近づくに従って、その猪口才なかっこうを明らかに眺め、武蔵はまた唇のあたりに微苦笑を加えた。――着物はゆうべのとは違って、お仕着せらしいのを着かえているが、もちろん腰も半分、袖も半分、帯には身長より長い木刀を横たえ、背には、傘ほどもある大きな笠を背負いこんでいる。