Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

二

さあ、見当がついたからもう占めたものだ」

「易を」

「易といっても、わしのは心易、いや霊易といおう。地相、水相、また、天象など考えあわせ、じっと、目をつむったら、あの山に行けと卦が出た」

「高照ですか」

「何山というか知らんが、中腹に、樹のない高原が見えるじゃろうが」

「いたどりの牧です」

「いたどり……去た者捕るとは、さい先がよいぞ」

沢庵は大きく笑った。

二

ここは東南に向って、なだらかな傾斜と、広い展望を持つ高照峰の中腹で、いたどりの牧と里では称ぶ。

牧というからには、いずれ牛か馬かが放牧してあるにちがいないが、ぬるい微風が草をなでているだけの寂寞とした夜のここには、今、それらしい影は一頭も見あたらない。

「さ、ここで陣を布くのだ。さしずめ、敵の武蔵は、魏の曹操、わしは諸葛孔明というところかな」

お通は、荷をおろして、

「――ここで何をするんです」

「坐っているのさ」

「坐っていて、武蔵さんが捕まりますか」

「網をかければ、空とぶ鳥さえかかる。造作もないことだ」

「沢庵さんは、狐にでも憑ままれているんじゃありませんか」

「火を焚こう、落ちるかも知れない」

枯れ木を集めて、沢庵は、焚火を作った。