Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

九

誰のご紹介をお持ちになろうと、お会いになる気づかいはありません――とは、この旅宿の主もいったことばである。

宗矩は不在、孫の兵庫利厳も遠国。――どうしても、柳生を打ってこの土地を通ろうというのには、石舟斎を目がけるほかはない。

「何かよい方法は?」

またそこへ考えが戻ってくると、彼の血のうちを駆けていた野性と征服慾は、やや落ちついたものへ返って、眼は、床の間の清純な白い花へ移っていた。

「…………」

何気なく見ているうちに、彼はふと、この花に似ている誰かを思い出していた。

――お通。

が久しぶりに、彼の、荒々しくのみ働いている神経と粗朴な生活の中に、彼女のやさしい面貌が浮かんできた。

九

小柳生城のほうへ、お通が、駒のひづめを軽そうに引っ返して行くと、

「やア――い」

雑木の茂っている崖の下から、誰か、こう自分へ向っていうらしい者がある。

「子ども」

とは、すぐ分っていたが、この土地の子どもは、なかなか若い女を見てからかうような勇気のある子はいない。――誰かと、駒を止めていると、

「笛吹きのお姉さん、まだいるの?」

真ッ裸な男の子だった。濡れた髪をして、着物は丸めて小脇にかかえ込んでいる。