Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「使いには、そなたがよいな、女がよい」

「はい、行って参りましょう」

「いや、すぐには及ぶまい。……明朝でいい」

石舟斎は、さらさらと茶人らしい簡単な手紙を書き、それを、先刻、壺へ挿けた芍薬の残りの一枝へ、結び文にして、

「これを持って、石舟斎事、ちと風邪心地のため、代ってお答えに参りましたと、小せがれの挨拶をうけて来い」

五

なお石舟斎から、使いの口上を授かって、お通は、次の日の朝、

「では、行って参ります」

被衣して、山荘を出た。

外曲輪の厩をのぞき、

「あの……お馬を一頭お借りして参ります」

そこらを掃除していた厩方の小者が、

「おや、お通さん。――どちらまで?」

「お城下の綿屋という旅籠まで、大殿のお使者に参ります」

「では、お供いたしましょう」

「それには及びませぬ」

「だいじょうぶで?」

「馬は好きです。田舎にいた頃から、野馬に馴れておりますから」

褪紅色の被衣が、駒のうえに自然な姿で揺られて行った。

被衣は、都会ではもう旧い服装として、上流のあいだでも廃っていたが、地方の土豪や中流の女子にはまだ好ましがられていた。

ほころびかけた白芍薬の一枝に石舟斎の手紙が結んである、それを持って、片手で軽く手綱をさばいてゆく彼女のすがたを見ると、