Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
六
六
初めから、牢人たちの側には、弥次気分と楽天的な気ぶりが、多分に漂っていて、
(――闘うのは宝蔵院衆、おれたちは、人殺しの見物)
と考えていたらしいのである。
武蔵が、そこの群れを、脆弱と観て、いきなり彼らの一団へ衝いて行ったのは戦法としても当然だ。
だが、彼らも、あわてはしなかった。彼らの頭には、宝蔵院の槍仕たちが控えているという絶対的な恃みがある。
ところが。
すでに戦闘はひらかれ、自分たちの伸間が二人仆れ、五人、六人と、武蔵の太刀にかかっているのに、宝蔵院側は、槍を横に並べて傍観しているのみで、一人も武蔵へ対して、突いて来ないではないか。
くそっ、くそっ――
やっちまえ、早く。
うわうッ。
だッ……だッ……
こなくそっ。
ぎゃんっ!
あらゆる音響が刃の中から発し、奇怪なる宝蔵院衆の不戦的態度に、業をにやし、不平をさけび、助勢を求め抜くのだったが、槍の整列は、いッこう動かない。声援もしない。まるで水のごとき列である。かくてみすみす武蔵のため、斬りまくられている彼らには、
(これでは、約束がちがう、この敵はそっちのもので、おれたちは第三者だ、これではあべこべではないか)