Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
九
「オ……」
武蔵は、われに帰って、刃を下げた。
「お見知りおき下さい。わたくしが宝蔵院の胤舜です」
「む。あなたが」
「過日は、せっかくお訪ね下された由ですが、不在の折で、残念なことをしました。――なお、そのせつは門下の阿巌が、醜しい態をお目にかけ、彼の師として胤舜も恥じ入っております」
「…………」
はてな?
武蔵は、相手のことばを、耳を洗って聞き直すように、しばらくだまっていた。
この人の言語や、言語にふさわしい立派な態度を、こちらも、礼儀をもって受け容れるには、武蔵はまず、自分の頭の中に混雑しているものから先に整えて聞かなければならなかった。
それにはまず宝蔵院衆が、何が故に、自分に向けてくるはずの槍を、遽かに逆さにして味方と信じて油断していた牢人どもを、みなごろしに刺殺してしまったのか?
その理由が、武蔵には解きようもない。意外な結果に、ただあきれているのだ。自分の生命の健在にさえあきれているのだ。
「血糊のよごれでもお洗いになって、ご休息なされい。――さ、こちらで」
胤舜は、先に歩いて、焚火のそばへ武蔵を誘ってゆく。
城太郎は、彼のたもとを離れなかった。