Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

太郎

一

――どうぞごゆるりと」

席を外して、出淵孫兵衛が出てゆくと、村田与三も、木村助九郎も、

「暫時、ごめんを」

と各※(二の字点、1-2-22)、武蔵へ対して、会釈を残しながら、出淵につづいて外へ去った。

遠い闇の中に、犬の声は、いよいよ、何か主人へ急を告げるように啼きつづけていた。

三名が去った後の席は、その遠吠えがよけいに凄く澄んで聞え、白けわたった燭の明りに、鬼気がみなぎっていた。

城内の番犬が、こう異様な啼き声を立てるからには、何か城内に異変があったものと考えなければならぬ。今、諸国ともにやや泰平のようでもあるが、決して隣国に気はゆるせたものではない。いつどんな梟雄が立って、どんな野心を奮い起さない限りもないのだ。乱波者(おんみつ)はどこの城下へも入りこんで、枕を高くして寝ている国をさがしているのだ。

「はての?」

独りそこに残っている主人側の庄田喜左衛門も、いかにも不安そうであった。何となく、火色の凶い短檠の灯を見つめて、陰々滅々と谺する犬の声をかぞえるように聴き耳をたてていた。

そのうちに、一声、けえん! と怪しげな啼き方が尾を曳いて聞えると、