Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
坂
一
何処へという目的もないような容子なのである。
「……やっぱり、そうだった。武蔵と名をかえて、武者修行に出ているとみえる。……今会ったら、変っているだろうな」
両手を、前帯へ突っこんで、草履の先で石を蹴る。その石の一つ一つに、彼は友達の顔を、眼にえがいた。
「……間がわるいな、どう考えても、今会うのは面目ない。おれにだって、意地はある。あいつに見蔑げられるのは業腹だ。……だが吉岡の弟子たちに見つかったら生命はあるまい。……何処にいるのか、知らしてやりたいものだが」
坂
一
石ころの多い坂道に沿い、行儀の悪い歯ならびのように、苔の生えた板廂が軒を並べていた。
くさい塩魚を焼くにおいがどこかでする。午ごろの陽ざしが強い、不意に、一軒のあばら屋のうちで、
「嬶や餓鬼を、乾ぼしにしておいて、どの面さげて帰って来たかっ、この呑ンだくれの、阿呆おやじがっ」
癇だかい女の声が聞え、それとともに一枚の皿が往来へ飛んで来て、真ッ白に砕けたと思うと、つづいて五十ぢかい職人ていの男が、抛り出されたように転び出した。
裸足で、ちらし髪で、牝牛のような乳ぶさを胸からはだけ放している女房が、