Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

陽なた・陽かげ

一

すると清十郎は、救われたように、藤次の誘いに乗って、

「わしは、昨夜の家へ、参りたいが」

「蓬の寮ですか」

「うむ」

「あそこは、ずんと茶屋の格がようございますからな。――初めから、若先生も、蓬の寮へお気が向いていることは分っていたのでござるが、何せい、この有象無象がくッついて来たのでは滅茶ですから、わざと、この安茶屋へ寄ったので」

「藤次、そっと、抜けてゆこう。あとは植田にまかせて」

「厠へ立つふりをして、あとから参ります」

「では、戸外で待っているぞ」

清十郎は、連中を措いて、器用にすがたを消した。

陽なた・陽かげ

一

白い踵を浮かして、つま先で立っていた。風に消された掛け行燈にあかりを入れ直し、軒へ背のびをしている洗い髪の年増女だった。なかなか釘へかからないのである。さし上げている白い肱に、燈りの影と黒髪がさやさやとうごいて、二月の晩のゆるい風には、どこか梅の薫りがしていた。

「お甲。掛けてやろうか」

うしろで、誰か、不意にいう。

「あら、若先生」

「待て」

と、側へ来たのは、その若先生の清十郎ではなくて、弟子の祇園藤次、

「これでいいのか」

「どうもおそれ入ります」