Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
四
出淵孫兵衛も、村田与三も、そういって、手から手へ、再度、手紙を渡して読み直しながら、
「文字にも、気稟がみえる」
「人物らしいな」
と、呟いた。
庄田喜左衛門は、
「もし、この手紙にある通り、ほんとに、芍薬の枝の切り口を一見して、非凡と感じたのなら、これはおれたちより少し出来る。――大殿が手ずから切ったものだから、或は、まったく鑑る者が鑑れば違っているのかも知れないからな」
「むム……」
出淵は、ふいに、
「会ってみたいものだな。――それも一つ糺してみようし、また、般若野のことなども、訊いてみるもよかろう」
喜左衛門は思い出して、
「使いに来た小僧が、待っておるのだ。――呼んでみるかの」
「どうじゃ」
独断ではというように出淵孫兵衛は、木村助九郎に計ってみる。助九郎がいうには、今はすべての武者修行に授業を断っている折だから道場の客としては迎えられない。しかしちょうど、中門の上の新陰堂の池の畔には、燕子花がさいているし、山つつじの花もぼつぼつ紅くなっている。そこに、酒でも設けて、一夕、剣談を交わそうとあれば、彼もよろこんで来るであろうし、大殿の耳へ入っても、それならばお咎めはなかろうではないか。