Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

四

……あなたは、生命が惜しいと先刻いいましたね」

「逃げる?」

「え……。わたしも、もうこの村にはいられないんです。……いれば……ああ堪えられない。……武蔵さん、わたしは、あなたを救いますよ。あなたは、私の救いを受けてくれますか」

「おうっ、切ってくれ! 切ってくれ! この縄目を」

「お待ちなさい」

お通は、小さな旅包みを片襷に負い、髪から足ごしらえまで、すっかり旅出の身仕度をしているのである。

短刀を抜いて、武蔵の縄目を、ぶつりと断った。武蔵は、手も脚も知覚がなくなっていたのである。お通が抱き支えはしたが、却って、彼女も共に足を踏み外し、大地へ向って、二つの体は勢いよく落ちて行った。

四

武蔵は立っていた。二丈もある樹のうえから落ちたのに、茫然と、大地に立っている。

ウーム……と呻く声が彼の足もとに聞えた。ふと眼を落して見ると、一緒に落ちたお通が、手脚を突ッぱって地にもがいているのである。

「おっ」

抱き起して――

「お通さん、お通さん!」

「……痛い……痛い」

「どこを打った?」

「どこを打ったか分りません。……だけど、歩けます、大丈夫です」

「途中の枝で、何度もぶつかっているから、大した怪我はしていないはずだ」