Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
宮本武蔵
吉岡染
一
吉岡染
一
明日は知れないきょうの生命
また、信長も謡った――
人間五十年、化転のうちをくらぶれば、夢まぼろしの如くなり
そういう観念は、ものを考える階級にも、ものを考えない階級にもあった。――戦が熄んで、京や大坂の街の灯が、室町将軍の世盛りのころのように美わしくなっても、
(いつまたこの灯が消えることか?)
と、人々の頭の底には、永い戦乱に滲みこんだ人生観が、容易に脱けきれないのであった。
慶長十年。
もう関ヶ原の役も五年前の思い出ばなしに過ぎない。
家康は将軍職を退き、この春の三月には二代将軍を継承した秀忠が、御礼のため上洛するのであろうと、洛内は景気立っている。
だが、その戦後景気をほんとの泰平とは誰も信じないのである。江戸城に二代将軍がすわっても、大坂城にはまだ、豊臣秀頼が健在だった。――健在であるばかりでなく、諸侯はまだそこへも伺候しているし、天下の浪人を容れるに足る城壁と金力と、そして秀吉の植えた徳望とを持っている。
「いずれ、また、戦さ」
「時の問題だ」
「戦から、戦までの間の灯だぞ、この街の明りだぞ、人間五十年どころか、あしたが闇」
「飲まねば損か、何をくよくよ」