Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
天下に剣道は、京八流だけではないぞ。また、吉岡一門ばかりが、随一でもあるまい。たとえば、この京都だけにも、黒谷には、越前浄教寺村から出た富田勢源の一門があるし、北野には小笠原源信斎、白河には、弟子はもたぬが、伊藤弥五郎一刀斎が住んでおる」
「それがどうした」
「だから、一人よがりは、通用せぬというのだ」
「こいつ! ……」
と、高慢の鼻を弄られた男は膝をのりだして、
「やい、前へ出ろ」
「こうか」
「貴様は、吉岡先生の門下でありながら、吉岡拳法流をくさすのか」
「くさしはせぬが、今は、室町御師範とか、兵法所出仕といえば、天下一に聞え、人もそう考えていた先師の時代とちがって、この道に志す輩は雲のごとく起り、京はおろか、江戸、常陸、越前、近畿、中国、九州の果てにまで、名人上手の少なくない時勢となっている。それを、吉岡拳法先生が有名だったから、今の若先生やその弟子も、天下一だと己惚れていたら間違いだと俺はいったんだ。いけないか」
「いかん、兵法者のくせに、他を怖れる、卑屈な奴だ」
「おそれるのではないが、いい気になっていてはならんと、俺は誡めたいのだ」
「誡める? ……貴さまに他人を誡める力がどこにあるか」